2011.04.13 Wednesday
[書評] オンラインゲームを支える技術。映画が総合芸術なら、オンラインゲームは総合技術に違いない
評価:
中嶋 謙互 技術評論社 ¥ 3,024 (2011-03-24) コメント:オンラインゲームは「総合技術」だっっ |
JUGEMテーマ:コンピュータ
技術評論社殿から献本いただきました。
著者の実経験からくる、あまりにも濃い内容に脱帽です。題名から技術にフォーカスしたものと思いきや、
中身にはプローデューサー的な視点や、プロジェクト/プロダクトマネージャ的な視点からも、大いに語られており、実際今後は、この本を読まずにオンラインゲーム制作に関わる輩がいたら「どうかしてるぜっ」といわれるスタンダードなものになると思います。技術が分からない人が、それをすっとばして斜め読みしても、得られるものは大です。(課金やプロダクトのライフサイクルなど)
データベース側からみれば、第4章のDB設計図が興味深いです。実際どのくらいの規模感なのよ? というところを具体的なC/S MMO型のシステムの規模感での永続化情報の洗い出し、テーブル、クエリの抽出などなど。
実は私自身はパソコンゲームの黎明期にゲームを作っていたことがありますが、そこからここにつながる部分は敵の衝突判定くらいで(笑) この本を読むと、ここ四半世紀の技術の進歩や、取り巻く状況の急激な発達に、ただただ呆然としてしまいます。
映画が、その黎明期には動画をとるだけでよかったものが、様々なパーツが発達し、今や総合芸術の域にまできているように、ゲームもいまや様々な技術、ビジネスモデル、ユーザを獲得し、あたかも総合技術の様相を見せています。例えば一人でハリウッド映画を作ることができないように、もうオンラインゲームを一人で立ち上げることは難しいのかもしれませんが、本書に書かれていることを理解して、それと自分のサービスとの相対位置がきちんと認識できていれば、意外にまだ、その敷居は(少なくとも映画よりは)低く、可能性に満ちているように感じます。「オンラインゲーム」に関わる全ての人に、手放しでオススメの良書です。わくわくします。
本書に関するブログエントリは次のエントリも参考になります!
ウェブエンジニアが「オンラインゲームを支える技術」を読むべき理由(田中慎司のログ)
『オンラインゲームを支える技術』 読了(sklave)